日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
胎児発育不全における胎児構造異常の有無による児の予後の比較
山口 理紗子渡邉 憲和伊藤 友理渡邉 真理子出井 麗深瀬 実加仙道 可菜子山内 敬子永瀬 智
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2024 年 60 巻 3 号 p. 451-456

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抄録

 胎児発育不全(Fetal growth restriction;FGR)で構造異常の有無は重要な予後因子と考えられるが,国内の報告は少なく,新生児期の予後を比較した報告はない.FGRにおける胎児構造異常の有無が日齢7の生命予後と関連するかを明らかにするために研究を行った.2014年から2022年にFGRで当院で管理した妊婦とその児を対象とした.対象は構造異常を伴う奇形群が37例,構造異常を伴わない非奇形群が53例であった.出生体重は奇形群が平均1,738g,非奇形群が2,346gで奇形群が有意に小さかった.日齢7の児の生存率は奇形群が83.8%,非奇形群が96.2%で,奇形群で有意に低かった.死因は奇形群では構造異常の原因疾患自体で,非奇形群では児の未熟性に伴う疾患だった.胎児構造異常の有無は児の生命予後予測に重要で,FGRは入念な構造異常の検索が必要である.

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© 2024 日本周産期・新生児医学会
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