日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
先天性胆道閉鎖症術後上行性感染予防術式に関する実験的研究
金子 隆池田 恵一矢加部 茂大神 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 15 巻 7 号 p. 1171-1178

詳細
抄録

1. 先天性胆道閉鎖症における上行性感染防止術式「肝門部胃管吻合術」に関する, 種々の実験的細菌学的検討を行なった.2. 雑種成犬を用い, 胆管結紮後胆のう消化管吻合を行ない, 従来のRoux-Y空腸吻合術, 十二指腸吻合術との比較検討を行なった.3. Roux-Y空腸吻合術式では, 腸内容の逆流, 細菌汚染があきらかで, 胆汁内細菌数は, 7.02±0.73と著明に増加していた.また十二指腸吻合術式でも, 6.98±0.29と胆汁内細菌数の著明な増加を認め, Roux-Y空腸吻合, 十二指腸吻合をもってしては, 上行性感染が避けられなかった.4. 胃管吻合術式は, 胃内への胆汁流入によるpHの軽度の上昇および胃内, 胆汁中細菌数の増加はあるが, 総じて細菌数は, 5.56±1.0と少なく, とくに嫌気性菌において著明で, 胃内容の逆流防止にも有効であり, 上行性感染防止術式としてより優れた術式であるといえる.

著者関連情報
© 1979 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top