日本小児外科学会雑誌
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生理食塩水直腸内注入時の直腸肛門内圧変化について : 正常と特発性便秘症の比較
長嵜 彰川名 隆司住友 健三生野 猛
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1990 年 26 巻 7 号 p. 1242-1247

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抄録

直腸内に生理食塩水を注入しつつ, 直腸肛門内圧を測定した.正常児では生理食塩水注入後3分以内で肛門内圧が下降し, 直腸と同じ波形を示すか, 小さな収縮波を示した.便意は87%に認められた.生理食塩水を500ml保持できたのは38%であった.一方, 特発性便秘症では生理食塩水注入後3分以内に肛門内圧が下降したのは1例のみで, 他は8分以後に下降するか, 全く下降しなかった.肛門内圧の波形も大半は弛緩を示した.便意を示したのは25%で, 生理食塩水500ml保持できたのは76%であった.以上のことより, 特発性便秘症では直腸は容積が大きく, 感受性に乏しいとともに, 直腸と肛門の協調機能にも問題があることが示唆された.

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© 1990 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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