小児における内視鏡施行の現況を知るため,1987年から1991年までの5年間に行われた上部消化管内視鏡・ERCP・下部消化管内視鏡・腹腔鏡・気管支鏡の施行件数・偶発症・使用内視鏡機種について,日本小児内視鏡研究会世話人施設にアンケート調査を依頼し次の結果を得た. 1. 小児における内視鏡施行件数は,1987年から1991年までの5年間で,8,722件である. その内訳は,上部消化管内視鏡5,408件(858 : 括弧内数字は治療的内視鏡施行件数), ERCP 478件(5),下部消化管内視鏡1,519件(229),腹腔鏡13件(2),気管支鏡1,304件(124)である.石田により集計された1978年および1983年の内視鏡施行件数に比べると,これらの内視鏡の施行件数は明らかに増加している. また,内祝鏡下胆嚢摘出術が2例(6歳,中学2年生)で行われたことも注目される. 2. 偶発症18例が集計され,その内訳は呼吸循環障害6例,出血5例,消化管穿孔4例,その他3例である. 死亡2例がみられたことは,内祝鏡施行に際しては麻酔法の選択に留意するとともに内視鏡操作手技の研鑚が不可欠であり,発生しうる偶発症とその対策について十分な知識を有することが大切であるあことを示唆している. 3. 各部位において使用されている内祝鏡機種は,多岐にわたっていることが示された.