日本小児外科学会雑誌
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2点式シートベルトによる小児外傷性小腸破裂の1例
宮内 隆行桐野 有成松村 長生大塩 猛人菊辻 徹江川 善康川人 智久
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1993 年 29 巻 2 号 p. 318-322

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抄録

近年,自動車事故の受傷形態として,シートベルトによる鈍的腹部外傷が増加している. 欧米諸国では小児例も多数報告されているが,本邦ではこれまでにわずか2症例を認めるのみである. 最近,2点式シートベルトによる小児小腸破裂症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は6歳女児. 2点式シートベルトを着用し後部座席にて睡眠中,時速50kmで他車と正面衝突した. 腹壁上にシートベルト圧痕,圧痛,筋性防御を認め,当院へ搬送された. 腹部X線,CTにて free air を認めたため,小腸穿孔を疑い開腹手術を施行した. 腸間膜根部の血腫,腸間膜裂傷を伴った約5cmの空腸血行不良,回腸穿孔を認めた. 空腸部分切除,回腸穿孔部の縫合閉鎖を施行した. 術後は良好に経過した. 同事故の際,患児の12歳姉は,後部座席でシートベルトは着用せず睡眠中であったが,下肢に軽症をおったのみであった.

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