日本小児外科学会雑誌
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内視鏡検査で十二指腸潰瘍が確認されたいわゆる新生児特発性気腹症の1例
大浜 和憲高橋 敦武田 聖浅野 周二島崎 英樹清酒 外文
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1993 年 29 巻 2 号 p. 323-328

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抄録

新生児気腹のほとんどが消化管穿孔によるものであるが,今回私たちは興味ある新生児気腹症の1例を経験したので報告する. 症例は生後7日の女児,出生体重2788g. 生後10時間吐血で発症. その後嘔吐は消失したが,生後7日大量の下血があり腹部単純レントゲン写真で気腹像が認められた. 消化性潰瘍穿孔を疑い全身麻酔下に上部消化管内視鏡検査を行ったところ十二指腸球部前壁に大きな潰瘍が認められた. 引き続き開腹手術を行ったが穿孔部位を発見することができずドレーンを留置し閉腹した. 十二指腸潰瘍が穿孔した後に自然閉鎖したものと考えた. 術後はシメチジンを投与し順調に経過した. 新生児特発性気腹症の本邦報告例25例のうち消化管出血は7例に認められているが,自験例において初めて消化管出血と気腹の因果関係が明らかにされた.

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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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