1993 年 29 巻 2 号 p. 329-334
高位鎖肛などの pull-through 手術後に直腸粘誤脱が発生することはまれでない. 脱出の程度はさまざまであり,粘液分泌,出血,疼痛などの不快な合併症を生ずる. 著者らは1982年に Millard らの報告した Two-flap anoplasty を pull-through 術後の直腸粘膜脱3例に行って良好な結果を得た. 会陰部の皮膚で作成した2つの皮弁による肛門管は術後再発や狭窄を生ずることなく,1例では排便感覚を獲得することができた. 術後の直腸脱に対する比較的容易な肛門形成法と思われたので症例を呈示し術式の詳細について述べた.