1993 年 29 巻 4 号 p. 793-800
我々は,根治手術前の男7女7例の直腸肛門奇形症例,男2女1例の対照例計17例に各臓器の位置・形態をより容易に立体的に把握するためにX線 CT像からコンピュータ・グラフィックスを用いた3次元表示と画像解析を用いた骨盤底筋群の3次元的定量化を試みた.その結果,低位型例では瘻孔が外肛門括約筋の前方を貫く様子が,男児中間位・高位型例では骨盤底筋群の立体的な位置・形態が容易に把握できた. cloaca 例においても各臓器の位置関係が立体的に把握できた.骨盤底筋群の発育については男女とも低位・中間位型例に対照例より筋群量が多い例があったのに対し,高位型例では筋群量は対照例より少ない傾向が示された.