日本小児外科学会雑誌
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骨盤部神経芽腫の1例 : 本邦例との比較および予後検討について
中島 浩司杉本 徹四方 卓磨細井 創峯 宏川勝 秀一澤田 淳岩井 直躬常盤 和明杉原 洋行
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1993 年 29 巻 4 号 p. 874-879

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抄録

マススクリーニングで尿中 VMA,HVA 高値を指摘され,エコー検査にて発見された骨盤部神経芽腫の1例を経験した.骨盤部神経芽腫は神経芽腫総数の3-8%で認められ,本邦では文献的に6例,また我々のおこなった1歳未満の神経芽腫の調査で15例の計21例が報告されている.骨盤部神経芽腫は副腎原発のものに比して予後は一般的に良好とされている.その理由は腫瘍の大きさ,祖織所見にかかわらず,病変が限局しているためと考えられる.我々の調査のうち病期 IV A の2例をのぞく88%(13/15)が生存中である.機能的予後に関しては直腸膀胱障害を残すことが多く,過去の報告の1例に直腸膀胱障害,我々の調査の1例に水腎症,尿管狭窄をみとめた.以上骨盤部神経芽腫はその病期に比して生命予後は良好であるが,膀胱直腸障害を生じる可能性があるため,早期発見は重要である.

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