1994 年 30 巻 2 号 p. 288-295
非外傷性骨化性筋炎 Pseudomalignant miositis ossificans は骨格外非腫瘍性骨化性病変であり,発症初期の腫瘍生検や微小な生検組織では悪性腫瘍と誤診されることもあり,注意を要する疾患である.左腰筋原発の1例を経験したので報告する.症例は7歳男児,腰痛を主訴に整形外科を受診. CT, MRI にて左腰筋腫大を認め,発症より2週目の腫瘍生検で横紋筋肉腫と診断され,当科に入院し pulse VAC 療法を施行.発症より2ヶ月後疼痛は消失し,腫瘍も縮小し始めた.腰筋内に5×3cm 大の境界明瞭,卵殻状の骨化巣が残った為,発症より5ヶ月後,大腿神経の一部を犠牲とし,腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘍の病理組織像で zone phenomena を認め,外傷の既往もないことより非外傷性骨化性筋炎と診断した.