日本小児外科学会雑誌
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直腸肛門奇形術後症例の肛門挙筋, 肛門括約筋の発達程度と排便機能の関係の評価 : MRIを用いた客観的評価
新保 和広
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キーワード: MRI, 直腸肛門奇形, 肛門
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1994 年 30 巻 4 号 p. 711-717

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抄録

直腸肛門奇形の治療では, 術後の排便機能の確立を目的としている. そのためには, 肛門挙筋, 肛門括約筋(以下, 筋群)を有効に利用する必要がある. MRI は, 術後の直腸肛門と筋群を様々な断面で描出可能であり, 筋群の利用状況の判定に有用である. その結果, 筋群を適切に利用する事が良好な排便機能獲得に必要な事が判明した. さらに, 筋群が適切に利用されている症例においても, 排便機能に差が生じる事から, 今回, 1)正常例の筋群の発達を評価し, 2)これを基準として直腸肛門奇形術後の各病型における筋群の発達を評価, 3)臨床的排便機能と筋群の発達の関係を検討した.1987年4月から1992年3月までに千葉大学医学部付属病院にて骨盤部のMRI検査を施行した直腸肛門奇形術後, 低位型16例, 中間位型12例, 高位型9例を検討対象とし, 正常例は他の疾患にて骨盤部の MRI 検査を施行された, 直腸肛門疾患のない児12名である. 筋群の発達の指標として, 恥骨結合下端レベルの横断像における, 筋群の面積と恥骨結合後縁, 左右坐骨後端で囲まれる三角形の面積の面積比 (%) を用いた. 正常例の面積比は, 9.6% ± 1.7 (Mean ± 1 SD)あった. 低位型は,9.1% ± 1.7で, 筋群の発達は良好であった. 中間位型は, 10.7% ± 3.1で値のばらつきが大きかった. 高位型は, 7.5% ± 2.2で, 他の二型に比し筋群の発達は有意に劣った. 低位型では排便機能は筋群の発達程度によらず良好であった. 中間位型, 高位型では, 排便機能不良例で筋群の発達も劣る傾向を認め, 筋群の発達不良が排便機能不良の原因の一つと考えられた.

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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
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