1994 年 30 巻 7 号 p. 1297-1302
幼児期に発見された先天性十二指腸狭窄症の女児例を経験した. 症例は出生直後に胆汁性嘔吐が出現し,他院で精査されるも異常を指摘されなかった. 離乳期より悪臭のある "おくび" や腹満を来しながらも発育障害はなかった. 2歳9ヵ月時に胆汁性嘔吐にて発症し,上部消化管造影にて本症と診断された. 当初内視鏡的治療を試みたが,膜様物か肥厚していたこと,Vater 乳頭が確認できないことより断念し開腹的治療に変更した. 本症に対する内視鏡的治療の報告はいまだ少ない. 文献的にその適応と有用性について考察する.