前仙骨部腫瘤の中で Tailgutcyst (以下本症) の報告は少なく極めて稀な疾患とされている. 今回我々は本症の一乳児例を経験したので報告する. 症例は6ヶ月女児. 臀部の発赤腫脹を主訴として来院した. 直腸肛門狭窄を来たし, 前仙骨節に存在する腫瘤をほぼ全摘し肛門拡張術を行った. 病理組織で, 多列線毛上皮, 移行上皮, Goblet cell を含む円柱上皮など多彩な上皮よりなる small cyst を数個認め, Tailgut cyst と診断された. 本症は奇形腫や, 重複腸管と診断されることも少なくないと考えられ, その病理組織学的診断が重要である.