1995 年 31 巻 5 号 p. 781-785
稀な11歳女児の右3重尿管, Smith の分類の3型を経験した.無症状であったが,検尿で白血球増多が2ヵ月の化学療法にもかかわらず遷延し,レノシンチグラムでは3尿管合渡部付近に同位元素の集積を認めたため,尿所見は尿管同士の交差,及びヨーヨー現象による尿うっ滞に起因すると推定し,外科的治療を選択した.上位尿管を合流部で結紮切離し,頭側の切離断端は中間位尿管と下位尿管との合流部よりやや頭側に端側吻合した. 術後,検尿で異常なく,IP,レノシンチグラムでも術前より改善された.今回の外科的治療選択にあたっては,膿尿の部位,閉塞性か非閉塞性かの術前検討が不十分であり,留意すべき点と考えている.