1995 年 31 巻 7 号 p. 1010-1015
昭和53年から平成6年までの17年間に5例の総排泄腔外反症を経験し, 4例が現在生存している. 昭和63年までの2例の治療方針は新生児期に膀胱腸裂の切離と回腸瘻造設術, 外反膀胱閉鎖術か行われ, 恥骨結合の縫合は乳児期から幼児期に行われた. しかし, 栄養管理と外反膀胱の閉鎖が困難であった. 平成1年以後の3例に対する治療方針は新生児期に膀胱腸裂の切離と結腸瘻造詮術, 外反膀胱閉鎖と恥骨結合の一期的縫合を行い, その後に泌尿器系の再建を考えることにした. この結果, 初期の症例にみられた栄養障害や外反膀胱閉鎖の困難さはなくなり, 新生児期の一期的治療が非常に重要であると考えられた. しかし, 依然として尿路結石, 排尿機能, 性の間題などが今後の課題として残されており, 長期の経過観察と更なる治療の改善が必要である.