1996 年 32 巻 2 号 p. 290-294
肥厚性幽門狭窄症に対する Ramstedt 手術は,右上腹部の横切開により行われてきた.しかしより"目立たない傷"を求めて臍上部弧状切開法による粘膜外幽門筋切開術を1994年6月から1995年8月までに男児12例,女児3例の計15例に行った、症例の手術時日齢は23日〜98日であった. 6例に臍上部の切開創の延長を必要としたが,全例とも肥厚した幽門部を腹腔外に引き出し幽門筋切開術を行うことかできた.合併症として術後に創部感染を1例に認めたが保存的に治癒した.術後切開創は臍上縁の皮膚と見分けがつかなくなり美容的に満足できる瘢痕となった,臍上部弧状切開法による粘膜外幽門筋切開は,特殊な装置を必要とせず術後美容的に優れた最良が得られ,現時点で腹腔鏡による幽門筋切開術の意義は少ないと思われる.