1996 年 32 巻 2 号 p. 315-317
1歳6ヶ月児の停留精巣の手術時,両側性腺が存在せず.精巣消失症候群と考えられた症例が,その後の染色体検査により Klinefelter 症候群であると確定診断された一例を経験した. Klinefelter 症候群は小児期には特徴的な所見を示しにくく,多くは思春期以降に発見され,特有の精巣病理所見を呈するが,性腺の消失をともなう例は極めて稀と考えられる.本症例における性腺消失の機序については,必ずしも明確ではないが,X染色体の過剰やそれに基づく内分泌異常のみでは説明し難く,何らかの二次的要因の合併か推察された.