1997 年 33 巻 1 号 p. 70-73
臍帯ヘルニアの手術時に胎便性腹膜炎を併発していた症例において,術後黄疸が遷延し日齢57日目に再開腹したところ,胆道閉鎖症と診断され肛門部空腸吻合術を施行し順調に減黄が得られた症例を報告した.初回手術時には正常と考えられる胆嚢が確認されており,また新生児期に開腹手術を必要とする疾患と胆道閉鎖症の合併の報告例も散見されるため,新生児期の手術において胆嚢か確認されていても,術後に黄疸が遷延するようなときには胆道閉鎖症を考慮することが重要であると考えられた.また,胎便性腹膜炎による炎症か胆道閉鎖症の誘因となった可能性については否定できないが,本症例の肝門部組織所見には胎便性腹膜炎が影響したと考えられる所見を認めず,胎便性腹膜炎の胆道閉鎖症発症への関与は明らかではなかった.