1997 年 33 巻 1 号 p. 86-90
きわめて稀な小児卵管留膿症の1例を報告する.症例は11歳女児. Hirschsprung 病のため2ヵ月時に人工肛門造設,11カ月時にDuliamel-池田変法にて根治術施行.術後,Z吻合部の縫合不全による腹膜炎のため再手術施行.1歳3ヵ月時に人工肛門を閉鎖.3歳と5歳の時にイレウスにて保存的治療を行い軽快、今回の発症2ヵ月前に初潮があった.主訴は腹痛,発熱.扼捉性イレウスの術前診断で開腹したところ,左卵管留膿症,右卵管留水症と診断し,左側卵管切除,右側卵管切除兼卵管開口術を施行した.過去4回の手術既往,及び2回のイレウス既往が,両側卵管の閉塞機転に影響を与えていると思われた.