日本小児外科学会雑誌
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先天性結腸閉鎖症および狭窄症の各1治験例
野澤 寛大浜 和憲土田 敬田中 松平林 宏行長尾 信川口 雅彦
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1997 年 33 巻 2 号 p. 308-313

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抄録

私たちは比較的まれな先天性結腸閉鎖症と狭窄症を各1例経験した.症例1は7ヵ月の女児で,主訴は便秘.注腸造形で S 状結腸に狭窄を認め,肛門内圧検査で直腸肛門反射は陽性であった.先天性結腸狭窄症の診断で狭窄部を切除し,結腸を端々吻合した.病理組織検査で固有筋層が不規則に錯綜しており,胎生早期の筋層形成異常が狭窄の原因と考えられた.症例2は生後2日の男児で,主訴は嘔吐と腹部膨満.注腸造形で microcolon を示し S 状結腸で途絶し,肛門内圧検査で直腸肛門反射は陽性であった.先天性結腸閉鎖症の診断で閉鎖部に人工肛門を造設した.術後,模擬便注入により肛門側結腸を拡張し,生後22日人工肛門を閉鎖し,結腸を端々吻合した.病理組織検査で内腔は線維性結合繊で置換され上皮は消失し,胎生後期の血行障害が閉鎖の原因と考えられた.2例の経験から診断には注腸造形と肛門内圧検査が有用で,閉塞の原因は単一ではないと思われた.

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