日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
インターフェロン療法が奏効したKasabach-Merritt症候群の1例
吉野 泰啓金沢 幸夫佐藤 志以樹郡司 崇志佐藤 領井上 仁元木 良一
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 33 巻 5 号 p. 854-861

詳細
抄録

治療に難渋したKasabach-Merritt症候群を呈した患児に,インターフェロンα (以下 IFN-α) を投与し著明な改善をみたので報告する.症例は生後2日の男児である.生直後より右頬部に血管腫を認め,次第に同部の腫脹,増大と出血傾向をきたしてきた.ステロイド投与,放射線照射などを行うも改善せず,右外頸動脈の結紮術を行い一時改善した.しかし3週間後には再びDICとなったため IFN-αを連日300万単位/m^2の皮下注射を開始した.数日後より血小板数は常に10万/mm^3以上を保つようになり,著明な効果を認めた. 4.5ヵ月間の連日投与ののち中等度の肝機能障害が出現したためIFN-αを漸減し投与開始後7.5ヵ月にて終了した.熱発,白血球減少もみられたが特に処置は要さず,比較的安全に投与可能であった.インターフェロン療法は,血管腫に対する従来の治療法に比し比較的安全で,より優先されるべき治療法と考えられた.

著者関連情報
© 1997 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top