1997 年 33 巻 5 号 p. 854-861
治療に難渋したKasabach-Merritt症候群を呈した患児に,インターフェロンα (以下 IFN-α) を投与し著明な改善をみたので報告する.症例は生後2日の男児である.生直後より右頬部に血管腫を認め,次第に同部の腫脹,増大と出血傾向をきたしてきた.ステロイド投与,放射線照射などを行うも改善せず,右外頸動脈の結紮術を行い一時改善した.しかし3週間後には再びDICとなったため IFN-αを連日300万単位/m^2の皮下注射を開始した.数日後より血小板数は常に10万/mm^3以上を保つようになり,著明な効果を認めた. 4.5ヵ月間の連日投与ののち中等度の肝機能障害が出現したためIFN-αを漸減し投与開始後7.5ヵ月にて終了した.熱発,白血球減少もみられたが特に処置は要さず,比較的安全に投与可能であった.インターフェロン療法は,血管腫に対する従来の治療法に比し比較的安全で,より優先されるべき治療法と考えられた.