1997 年 33 巻 7 号 p. 1094-1098
1993年7月より1996年12月まで計16症例に腹腔鏡下肺摘 (LS) を試み,うち13例に成功した.3例の開腹移行例の原因はいずれも肺門部血管からの出血であった. LSを開始して以来,新たに開発された器具を導入し,術式を改善しながら,安全な術式を目指してきた.最近の4症例では LaparoSonic Coagulating Shears (LCS, ハーモニックスカルペル) と linear stapler による肺門部の切断 (stapled transaction : ST) を併用することにより,クリッピングと電気メスを必要としない LS が可能となり,術式の安全性が著しく向上した.本論文では当科における術式の変遷を述べ, LCS と ST を併用した LS の実際について言及した. LCS と ST を併用することにより LS はより安全で容易な術式に改良されたので,今後は開腹下脾摘除術に代わる標準術式になると考える.