1997 年 33 巻 7 号 p. 1124-1128
症例は,2歳6ヵ月の女児.両側の乳腺の腫犬を主訴に来院した.血中ホルモン定量では LH , FSH の低値およびエストラジオール (E2) の高値を認めた. LH-RH 負荷試験で血中 LH, FSH ともに無反応を示した.頭部 MRI 検査にて異常を認めず,腹部超音波検査にて右卵巣に嚢胞性病変を認めた.以上の検査結果より2次性の思春期早発と診断し,右卵巣摘出術を施行した.病理組織検査では Corpus luteum cyst であった.術後の血中エストラジオールは正常範囲となり,本症例は右卵巣嚢腫からの自律的なエストロゲン産生による2次性の思春期早発と診断した.