日本小児外科学会雑誌
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胃破裂と回腸穿孔を伴った超低出生体重児の 1 例 : その成因と治療について
大沢 義弘毛利 成昭杉本 努小田 洋一郎
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1998 年 34 巻 2 号 p. 317-322

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抄録

出生直後より人工呼吸器管理となった超低出生体重児(872 g)の女児例(PDA, 敗血症合併)の生後7日目に穿孔性腹膜炎を認めた.手術にて汎発性腹膜炎の原因は胃破裂と回腸穿孔と判明したが, 手術は腹腔ドレナージのみにとどめた.早期の経腸栄養の必要性より術後11日目に再開腹したが回腸穿孔は被覆され, 胃の穿孔も縮小しており後日自然閉鎖した.その後PDAの再開通(生後109日目結紮術施行)などもあり経管栄養開始は遅れたが消化管の運動機能改善剤としてのエリスロシンの投与も有効で, 後遺症なく生後7カ月に退院した.両穿孔の同時発生例の報告は極めてまれである.本症の両者の発生機序は, 古典的NECの背景因子は有していたが, 臨床経過と手術所見よりmeconium diseaseに伴う消化管内圧の亢進が主因であろうと推測した.

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