1998 年 34 巻 7 号 p. 1175-1179
症例は4歳男児.肝前性門脈圧亢進症と診断され, 食道静脈瘤に対しEISを6回, 脾機能亢進には6歳時にPSEで対応した.8歳になると消化管出血による入院が頻回となったため, 保存的治療の限界と考え, 脾摘を伴ったsplenorenal shunt術を行った.経過は良好で術後23日目に退院となり, 術後2年目の現在, 脳症は認めていない.肝前性門脈圧亢進症の治療はEIS, PSEなど非手術的治療が優先され手術治療については現在も議論を残しているが, 当症例を通じ, 脾摘後感染症の発症頻度が極端に落ちる6歳以上に達したならば, 積極的に手術療法を行い, 門脈圧を調節するのが良いと考えられた.