【目的】コラーゲンは細胞外マトリックスのひとつで細胞成長, 分化および癌浸潤に重要な役割をなしている.本研究は神経芽腫群腫瘍における腫瘍内コラーゲン発現と予後との関連について検討した.【方法】神経芽腫群腫瘍9例を対象とした.治療前の腫瘍組織を用いて, SDS-PAGEによるコラーゲン分析および透過電顕所見による形態学的特徴を検討した.【結果】全例にI型コラーゲンα_1鎖およびIII型コラーゲンα_1鎖を認めた.3例にI型コラーゲンα_2鎖の欠損を認めた.この3例は従来の予後因子において比較的多くの予後不良因子を有していた.電顕所見ではコラーゲン線維長に短い傾向が認められたが, 線維径には有意差を認めなかった.【結語】神経芽腫群腫瘍におけるコラーゲン合成異常が, 腫瘍の分化度や予後不良因子となりうる可能性を示唆した.