2000 年 36 巻 2 号 p. 324-327
虫垂がすでに切除された2例に対し盲腸や回腸でカテーテルの導入路を作成するMalone手術を行った.症例1はヒルシュスプルング病術後便失禁例で, 盲腸のフラップより作成した.洗腸は不要であり, 5Fr.カテーテルを使用し毎日1回50mlのグリセリン浣腸で24時間のドライタイムが得られている.本人の満足度も高い.症例2は総排泄腔外反で後腸の貫通術後の失禁であるが, 順行性の浣腸以外に拡張回腸の直径を小さくし, 腸管の収縮力を回復する目的もあわせて行った.ほとんどの便汁はネラトンチューブにより排除でき, 固形物は肛門から排泄可能であることが分かった.カテーテル挿入可能な導路を造設することにより, 総排泄腔外反症例での貫通術の適応は拡がる可能性が示唆された.