2000 年 36 巻 7 号 p. 1072-1077
症例は1歳2ヵ月の男児で主訴は嘔吐.前医にて腹部腫瘤を触知し、浣腸にて粘血便を認めたため腸重積と診断され, バリウムによる高圧整復が施行されたが, 回腸での重積が整復不能のため手術目的に当科へ紹介となった.先ず腹腔鏡にて検索したところ, 回腸回腸型の腸重積が認められた.Hutchinson手技に準じて鉗子で嵌入腸管を整復させたところ, 回腸末端から約30cm口側に先進部と思われる白色顆粒状の腫瘤性病変を認めたため, 腹腔鏡補助下に回腸切除を施行した.組織学的に比較的稀なHeinrich I型の異所性膵であった.孤立性の回腸異所性膵が先進部となって発症した腸重積症は稀であるが, 成因の1つとして念頭におく必要性があると考えられた.