最近, 胎児エコーと胎児MRI等の画像診断の進歩により, より正確な出生前診断が可能に成りつつある.我々は1986から1998年12月までの13年間に, 60例の外科的疾患の出生前診断例を経験した.そのうち, 小児泌尿器疾患は水腎症7例, 嚢胞性腎疾患3例の計10例であった.嚢胞性腎疾患は, 常染色体優性嚢胞腎(症例1), 常染色体劣性嚢胞腎(症例2), 嚢胞性腎異形成の各1例であった.前2症例において, 興味ある画像所見を得た.また鑑別診断も試みたので報告する.症例1は, その他の嚢胞性腎疾患やウイルムス腫瘍cystic variants等と鑑別した結果, 家族歴, 胎児エコー上大小の嚢胞所見, 出生後MRIの腎実質所見から, 常染色体優性嚢胞腎と診断した.症例2は胎児MRIによる両側腎腫大所見, 出生後腹部エコーにおける約3mm大の嚢胞所見から, 常染色体劣性嚢胞腎と診断した.しかし, 症例2においてはnongenetic sporadic glomerulocystic kidney diseaseとの鑑別は画像上困難で, 今後, 病理組織診断が必要と考えられた.