2001 年 37 巻 4 号 p. 713-716
腸重積症に対する非観血的整復による不成功の原因の一部は注腸の整復圧が低いためであると考え, 他院で行われた注腸整復不成功例と本院での整復時の整復圧について検討した.対象は1981年から1997年までに注腸整復を試みた92例である.当院初回操作57例中, 非観血的整復成功例は82%, 他院整復不能例は35例中, 非観血的整復成功例は51%であった.整復は無麻酔下に16 Fr Foleyカテーテルを挿入し20%バリウムまたは6倍希釈ガストログラフィンを用いて, 液面が低下しても常に120cm溶液柱を守り, 5分加圧を5分間隔で繰り返した.穿孔などの合併症はなかった.以上より再診時の非観血的整復率が51%もあることから, 他院における初回の整復時に, 適切な整復圧が維持されなかったことが推測された.非観血的整復術には120cm溶液柱を維持することが重要である.