日本小児外科学会雑誌
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舌部嚢胞性奇形腫の新生児例
平林 健羽金 和彦西川 眞史井原 正博
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2001 年 37 巻 7 号 p. 1068-1072

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抄録

今回, 我々は, リンパ管腫との鑑別が困難であった, きわめて希な, 舌部嚢胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.症例は, 胎児超音波検査にて, 頸部嚢腫を指摘されていた女児である.在胎38週に, 出生体重3, 415 gにて, 帝王切開により出生.舌部嚢胞が口腔内を完全に占拠していた.出生直後に, 気管内挿管し気道を確保した.MRI検査によりリンパ管腫を疑い, 気管切開, 胃瘻造設後, 嚢腫内容吸引, OK 432注入を行った.嚢腫内容細胞診で扁平上皮細胞を認めた.生後138日目に, 舌正中切開し, 嚢胞を全摘したが, 病理診断は嚢胞性奇形腫であった.術後17カ月現在, 嚥下・呼吸機能に障害を認めない.舌部嚢胞性奇形腫は, 全摘のみが有効な治療であり, 本例においても早期の全摘を考慮すべきであったと考えられた.

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