日本小児外科学会雑誌
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バルーン拡張術により長期緩解を得ている限局型原発性硬化性胆管炎の 1 例
東 孝中村 哲郎中平 公士春本 研森内 隆喜中岡 達雄真鍋 隆夫小林 庸次畠山 元
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2002 年 38 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

10歳男児の限局型原発性硬化性胆管炎の1例を経験した.左右肝管合流部の強度の狭窄で, 黄疸を主訴に発症した.PTCDにより減黄をはかり, 試験開腹による生検では著明な線維化とリンパ球の浸潤をみとめ, 原発性硬化性胆管炎と診断した.径7mm, 長さ2cmの血管拡張用のバルーンカテーテルを用いて, PTCDルートから拡張術を計4回行った.狭窄部の拡張は良好で, 施行後はすみやかに肝機能は正常化した.現在10年を経過するが, 再狭窄の徴候もなく経過している.文献上, 限局型原発性硬化性胆管炎の切除例の予後は良好であるが, 本症例のようにバルーン拡張術によっても長期に渡り有効な場合があり, 侵襲性も低く試みるべき治療法と考える.しかし病変部が残存しているため, 今後とも再狭窄や胆管癌の発生には注意していく必要がある.

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