日本小児外科学会雑誌
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巨大嚢胞性胎便性腹膜炎 (Giant Cystic Meconium Peritonitis) の 1 例
岩渕 敏久下竹 孝志富山 英紀文野 誠久岩井 直躬
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2002 年 38 巻 4 号 p. 702-706

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抄録

巨大嚢胞性胎便性腹膜炎は嚢腫が腹腔内全域を占拠し, 生直後より腹部膨満に伴う呼吸不全を認めるなど, 胎便性腹膜炎の中でも最も緊急性のある疾患であるが, その根治術の時期や方法には様々な見解がある.今回我々は, 出生直後に嚢腫ドレナージ術を行い, 生後4日目に根治術を施行した1例を経験したので報告した.本症例では, ドレナージ術後に胎便性腹膜炎に至った原因疾患の診断を確定し, 充分な術前準備を行った上で根治術に進めることが出来た.生後4日目の開腹では嚢胞壁自体の癒着は強固であったものの腸管同士の癒着剥離は比較的容易で, 回腸閉鎖症根治術を著変なく完了し, 術後5日目より経口摂取を開始した.本疾患では, 嚢胞ドレナージの術後に全身状態の回復が得られ, かつ原因疾患が確定された場合, 症例によっては積極的に新生児期の根治術を選択することが充分可能であると考えられた.

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