2002 年 38 巻 7 号 p. 1027-1031
【目的】小児医療として小児外科を選びながらも将来にわたって小児外科に専任できるとは限らない.その中で近年小児外科開業を実現させる人も増えている.一小児外科開業医の現状から小児一次医療に果たすその役割を検討し, 小児外科開業医の位置づけと将来性を述べる.【方法】日常診療の中で特に外科疾患症例の分析と, 小児外科の特色を採り入れた乳幼児健診の成果とアンケートによる評価を行った.【結果】小児外科医による乳幼児健診と小児外科診療により, 診療圏は比較的広範囲になった.小児外科疾患の割合は概ね10%であった.大学病院小児外科を始め専門施設への転送もあったが, 多くは外来診療で十分であった.乳幼児健診では超音波検査も併用することもあり好評であった.健診における外科的疾患の診断は再診例も入れて約30%であった.【結論】小児外科開業医の小児一次医療に果たす役割は大きい.小児外科専攻の研修において, 小児外科開業も視野に入れた教育を行うことも小児外科の活性化に役立つかもしれない.