日本小児外科学会雑誌
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小児卵巣嚢胞性疾患に対する治療法の検討
須貝 道博村田 希吉棟方 博文
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2002 年 38 巻 7 号 p. 1052-1056

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抄録

【目的】新生児の卵巣嚢腫は出生前超音波検査の普及に伴い発見頻度が増加している.今回われわれは新生児の卵巣嚢腫ならびに1歳以上の卵巣嚢胞性疾患の治療方針につき検討を加えたので報告する.【対象】1995年1月より2001年12月までの7年間に当科で経験した新生児卵巣嚢腫6例, 1歳以上の卵巣嚢胞性疾患6例を対象とした.新生児卵巣嚢腫は全例USにより出生前診断がなされ, 出生後は外来にて1カ月ごとUSを施行し, 嚢腫形態を経時的に観察した.1歳以上の嚢胞性疾患に対しては全例腹腔鏡下手術を施行した.疾患の内訳は嚢胞腺腫1例, 成熟奇形腫4例, 卵胞嚢胞1例と腫瘍性病変が大半を占めた.【結果】新生児嚢腫6例中5例で嚢腫は出生後徐々に縮小した.1例は捻転による卵巣出血を認めた例で手術を施行した.嚢腫5例の大きさは4cm∿9cmで保存的にUSにて経過観察した.2例に穿刺排液を行い, 1.5カ月から10カ月でいずれも消失した.腹腔鏡手術例の年齢は1歳から13歳で腹部腫瘤を主訴として来院した.全例5cm以上の嚢胞性病変が下腹部に認められた.術式は体外法は5例, 体内法は1例で, 腹腔鏡は全例5mmの直視鏡を用い, 鉗子, 電気メス等腹腔内操作器具類はすべて3mmのものを使用した.腫瘍は全例左側卵巣原発で2例に茎捻転を認めた.嚢腫の大きい3例に対してはダブルバルーンキットを用い, 内容液を漏らさぬよう吸引することが可能であった.体外法では嚢腫, 腫瘍の核出を行い, できるだけ卵巣の温存に努めた.【結論】新生児卵巣嚢腫に関しては捻転, 出血例以外はいずれも最高10カ月で全例嚢腫の消失を認めた.USによる経時的観察により早期の手術を避け, 保存的治療により対処可能と考えられた.一方1歳以上の卵巣嚢胞性疾患に対する腹腔鏡下手術はQOLの観点から良い適応であり, 安全で今後ますます適応拡大していくと思われた.

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