【目的】出生数の低下および少子化により小児外科症例の減少と施設間の較差が危惧されている.そこで九州・沖縄地区の各県の小児外科専門医の数および専門施設の数に関して出生数にもとづいた現状の把握と今後の対策について検討した.【方法】九州・沖縄各県の出生数の経年的な変化と現在の小児外科専門医の数と専門施設の数を日本小児外科学会の認定する指導医および認定医の数,認定施設,教育関連施設,特定施設の数として,その分布密度を全国平均および欧米と比較検討した.【結果】九州・沖縄地区の小児外科診療は,出生数あたりの専門医の数が全国平均より少なく,絶対数が不足していると考えられた.また専門施設の密度は地域により大きな隔たりがあり,特に宮崎,沖縄,長崎は小児外科専門施設がなく指導医も不在で,一般外科医が小児外科診療を行っている可能性が高い.【結論】小児外科医の過疎地域にはマッチングシステムの積極的な活用により専門医を養成すべきであり,出生数および地域に応じた小児外科専門施設の適切な再配分が必要である.またこどもたちが小児外科専門医療の恩恵を受けられるような保険制度の改革が必要である.