日本小児外科学会雑誌
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非典型的腸回転異常症の2例
植村 則久堀澤 稔新實 紀二
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2003 年 39 巻 7 号 p. 940-944

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抄録

症例1は生後4日の男児.胆汁性嘔吐を主訴に来院.上部消化管造影で十二指腸の狭窄を認めた.数日様子を見たが,再検すると狭窄が増強していたため,手術を施行した.やや右側に偏移した十二指腸水平部が,後腹膜に連続する異常腹膜バンドにより壁外性に圧迫されていた.バンドを切離することにより圧迫が解除された.術後経過良好.症例2は生後9日の女児.胆汁性嘔吐を主訴に来院.上部消化管造影では,トライツ靫帯から約3cm肛門側の上部空腸の完全狭窄像が認められた.緊急手術を施行した.盲腸の下降不全,十二指腸の右側偏位に伴う小腸間膜根の狭小化を認め,それを中心に時計まわりに270度軸捻転していた.軸捻転解除し,小腸腸間膜根部の延長を行った.術後経過良好.上記非典型的腸回転異常に関連した腸閉塞の2例を経験したので,文献的考察を加え報告した.

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