日本小児外科学会雑誌
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VEID(Vein entry indicator device)の使用経験
井上 裕美大谷 俊樹若林 健二岡本 健太郎薄井 佳子有井 滋樹岩井 武尚
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2003 年 39 巻 7 号 p. 988-991

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抄録

【目的】VEID(vein entry indicator device)は静脈確保を目的に作成された小型の圧センサーで,10cmH_2O以上の圧を感知すると発信音が変化し,針が静脈内に挿入されたことを伝える仕組みになっている.VEIDを用いて小児外科患児に対し,採血,静脈留置針挿入,中心静脈穿刺を行った.【方法】VEIDを用いて小児外科患児の採血,静脈留置針挿入,中心静脈穿刺をそれぞれ158人,23人,5人に対して行った.手技を担当した医師7名に対しアンケート調査を行い,VEIDの使用感についての検討を行った.【結果】VEIDは採血,静脈留置針の挿入に際して良好に作動し,ほとんどの症例で,血液の逆流よりも発信音の変化の方が早かった.中心静脈穿刺においては5例中1例にのみ正常に作動した.7名の医師によるアンケート調査によると,VEIDを使用して非常に良いと感じたのが3名,良いと感じたのが4名で,必要ないと感じた医師は0であった.操作感についてはそのままで良いとしたのが3名,もう少し工夫が欲しいとしたのが4名であった.更にVEIDの感度については良いが4名,鈍すぎるが2名,1名は無回答であった.【結論】VEIDは必要不可欠な道具ではないが,医師側としては採血や静脈留置針の挿入に際し,安心感が増す,また子供たちやご両親の側からは,子供の気がまぎれる,など採血を容易にする雰囲気作りに重要な役割を示した.VEIDが,今後医療現場で広く受け入れられるためには,いくつかの改良とリサイクルヘの対応,またcost down が必要と思われた.

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