2004 年 40 巻 1 号 p. 37-42
奇形腫を伴ったtrue human tailの症例を経験したので報告する.症例は,在胎39週,出生時体重3,000g,日齢0の女児.出生時より仙尾部正中線上に長さ10cmの棍棒状腫瘤を認め,当院へ搬送された.MRIで腫瘤は石灰化,脂肪組織,液体成分を含むことから奇形腫と診断した.更に根部に仙骨から伸びる骨性隆起を触知し,MRIで尾骨延長線上に過剰尾骨を認め,human tailと診断した.MRI上,過剰尾骨と奇形腫には境界が認められ,脊椎骨との連続性もないため,生後2日に過剰尾骨を含め腫瘍切除術を施行した.腫瘍の病理診断は成熟奇形腫で尾骨との境界は明瞭であった.Human tailには二分脊椎やtethered cord症候群の合併が多く報告されており,術前にCTやMRIで脊椎形成異常の有無,脊椎管へ連続する結合織の有無を確認することが肝要である.