日本小児外科学会雑誌
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Kasabach-Merritt症候群を伴った新生児巨大肝血管内皮腫の1例
上杉 達田尻 達郎近藤 剛中村 晶俊田口 智章高橋 由紀子恒吉 正澄水田 祥代
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2004 年 40 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

症例は0生日,女児.在胎35週,胎児超音波検査にて腹部腫瘤を指摘され当院へ紹介.在胎36週3日,胎児仮死のため帝王切開で出生.左腹部に巨大腫瘤を触知し,横隔膜挙上による呼吸障害があり人工呼吸管理を必要とした.さらに,貧血,血小板低下,凝固能異常を認め,DICを呈していた.MRIでは肝外側区域にT2強調像で著明な高信号を呈する巨大腫瘤と左肝静脈拡張を認めた.以上よりKasabach-Merritt症候群を伴った肝血管腫と診断した.DICの治療を行うとともに,腫瘍に対しステロイド投与と放射線照射による保存的療法を先行した.DICは改善したが腫瘍は縮小しないため,60生日に肝外側区域切除術を行い腫瘍を完全切除した.病理組織診断は血管内皮腫であった.全身状態不良な巨大肝血管内皮腫症例では保存的療法を先行し全身状態安定後に外科的切除を行うことが有効で安全な治療と考えられる.

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