2004 年 40 巻 2 号 p. 178-182
【目的】肥厚性幽門狭窄症における外科的治療において,臍部切開法での創外幽門筋切開と創内幽門筋切開の有用性について検討した.【対象】1999年12月から2003年8月まで日本大学板橋病院小児外科において肥厚性幽門狭窄症の診断で手術を施行した26例を対象とした.【方法】創外幽門筋切開症例20例と創内幽門筋切開症例6例について手術時間,出血量,術後経口摂取までの時間,術後入院期間について比較検討した.統計学的検討には,Mann-Whitney U検定を用い,p<0.05をもって有意とした.【結果】全症例とも術中合併症は認めなかったが,術後に肝機能障害を2例に認めた.手術時間や出血量に関しては,両者に有意差を認めなかった.術後経口摂取までの時間,術後入院期間については,有意に創内幽門筋切開症例が短かった.【結論】肥厚性幽門狭窄症に対する外科治療法はRamstedt手術が基本であるが,幽門筋に対する到達法によりいくつかに分けられる.その中でも臍部切開法は美容的にも有用とされている.本検討では,臍部切開法においては臍外法よりも臍内法が術後経過からみると有用と思われた.