2004 年 40 巻 5 号 p. 659-664
愚児は30歳,1妊1産の母親から生まれた,在胎39週,総体重4,864gの女児であった.胎児診断で通常の双生児と思われており予定帝切で出生後はじめて結合双生児に気付かれ当院へ搬送された.術前検査にて胸郭,心嚢,横隔膜および肝臓以外に結合はなく,分離可能と診断した.分離術前2回の全麻小手術と,十分な各科部門の合同カンファレンスを行い,生後83日に分離手術を施行した.分離手術はほぼ計画通りに行われた.術後1児が重篤な呼吸循環不全に陥ったが,その後の治療に反応し救命できた.患児らは術後5週目にそろって退院,現在4歳になり右前胸部の胸郭に変形を残しているが元気に生存中である.