日本小児外科学会雑誌
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VATER association完全型の2例
星野 真由美池田 太郎松村 光恭井上 幹也後藤 博志杉藤 公信萩原 紀嗣越永 従道
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2004 年 40 巻 5 号 p. 691-696

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抄録

VATER associationとは胎生期の中胚葉系分化異常による先天奇形で,椎骨異常,鎖肛,気管食道瘻,橈骨あるいは腎の異形成のうち3要素以上を1個体に認める症例をいう.われわれの調べた限りでは,本邦におけるVATER associationの報告は65例であり,1個体に4要素のすべてが合併した完全型としての報告例は比較的少ない.当施設で経験したVATER associationの完全型2例について文献的考察を加えて報告する.いずれの症例も先天性食道閉鎖症Gross分類でC型の患児で,症例1は仙骨形成異常,鎖肛,橈骨欠損および総動脈幹症を合併し,日給1に胃瘻造設術および人工肛門造設術を施行したが,心奇形による心不全により根治術を施行することなく日給155に死亡した.症例2は二分脊椎,仙骨形成異常,鎖肛,左腎無形成を合併し,日齢0に胃瘻造設術,人工肛門造設術および一期的根治術(気管食道痩切離閉鎖術,食道食道端々吻合術)を施行し,現在も入院加療中である.

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