2004 年 40 巻 6 号 p. 786-790
我々は臍帯内に腫瘤状肝組織を認めた臍帯内残存肝ヘルニアを経験した.これは臨床所見としては臍帯内に肝組織を認め,この肝組織はヘルニア門にて矮小化され,そのヘルニア門は臍帯内ヘルニアとほぼ同じ門径であり,脱出肝と固有肝の連続性はある場合とない場合があるといった特徴的所見を呈し,臍帯ヘルニア,臍帯内ヘルニアとは違った病態であるため,臍帯内残存肝ヘルニアと命名,診断した.今回,副肝葉,異所性肝といった脱出肝を伴う臍帯ヘルニア,臍帯内ヘルニアの症例を含めその発生機序についても考察した.