日本小児外科学会雑誌
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第1鰓裂性奇形の2例
石丸 哲也金森 豊杉山 正彦朝長 哲弥仲西 博子芳田 真理子橋都 浩平
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2005 年 41 巻 5 号 p. 755-760

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抄録

我々は, 比較的稀な第1鰓裂性奇形(以下, 本症)を2例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は3カ月時に左耳漏で発症した女児で, 外耳炎と診断され治療を繰り返したが6カ月時に左頸部が腫脹し自潰した.1歳時に当科に紹介され瘻孔全摘術を施行した.症例2は3歳時に左下顎角部に腫瘤が出現し, 排膿を認めたため当科へ紹介された.難治性のため本症を疑い4歳時に瘻孔全摘術を施行した.両症例とも術後の顔面神経麻痺を認めず, 再発も認めていない.本症は, 診断が困難なために切開排膿などの処置を繰り返し, 病悩期間が長期化していることがある.小児期の耳漏, 耳介周囲の腫脹, 頸部の難治性膿瘍, 瘻孔をみたら本症を疑う必要がある.治療は瘻孔全摘術であり, 術中顔面神経損傷に注意が必要である.今回我々が行った, 瘻孔に涙管ブジーを挿入し必要最小限の皮切で顔面神経を広範囲に露出せずに剥離を進めていく方法は, 安全で確実と思われた.

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