日本小児外科学会雑誌
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小児内視鏡検査の現況と偶発症 : 1995〜1999年間の集計
河野 澄男
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2005 年 41 巻 5 号 p. 767-772

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抄録

1995年から1999年の5年間における, 小児の内視鏡施行件数とその偶発症, 更に使用機種について日本小児内視鏡研究会(以下本研究会と略)世話人施設にアンケート調査を依頼し, 60施設中45施設(75%)から結果を得た.1984年の石田, 1993年の長島らにより集計された内視鏡施行症例数は年々増加を示した.今回の内視鏡施行総数は15,783件で, 部位別に見ると上部消化管6,366件(40.4%), 気管支鏡4,927件(31.3%), 腹腔鏡2,582件(16.4%), 下部消化管1,398件(8.8%), ERCP 391件(2.4%), 胸腔鏡119件(0.7%)であった.ERCPと下部消化管施行件数は前回より減少し, その他は増加していた.それらのうち偶発症は35例(0.2%)で前回の発生率と同じであった.上部消化管では15例(0.24%), その内容は消化管穿孔7例, 出血5例, 呼吸循環系3例, 気管支鏡では2例(0.04%)で呼吸循環系2例, 腹腔鏡では12例(0.46%)で出血7例, 消化管穿孔3例, 呼吸循環系1例, 肝損傷1例, 下部消化管では4例(0.29%), 消化管穿孔3例, 腸炎1例, ERCPでは1例で膵炎の1例, 胸腔鏡1例で消化管穿孔1例が報告された.死亡症例は大腸内視鏡検査時の消化管穿孔の1例と気管支鏡操作時の気管・大血管系の穿通の1例であった.内視鏡施行医師は検査時の患児の状態の把握とその際の麻酔法の選択に留意し, 内視鏡操作手技の習得に努めねばならない.使用機種に関しては各施設とも多種, 多彩にわたっていることが示された.

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