日本小児外科学会雑誌
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新生児消化管穿孔手術28例の検討
山本 知子好沢 克石曽根 新八中村 友彦百瀬 芳隆
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2005 年 41 巻 6 号 p. 776-782

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抄録

【目的】新生児の消化管穿孔は未だに予後の悪い疾患の一つである.予後に影響する因子について自験例28例を検討した.【方法】当院が開設された1993年から2002年までの10年間で新生児期に生じた消化管穿孔の手術例は28例で, これを生存例と死亡例に分け様々な要因との因果関係を解析した.【結果】全28例中, 生存19例, 死亡9例, 死亡率は32.1%であった.出生体重1,000g未満の超低出生体重児の14例では生存5例, 死亡9例, 死亡率は64.3%であった.一方出生体重1,000g以上の14例は全例生存していた.穿孔部位は小腸23例, 結腸2例, 胃2例, 十二指腸1例であった.11例で腸瘻造設術を, 9例で腸吻合と腸瘻造設術を, 6例で一期的吻合を施行した.出生体重及び在胎週数では, 各々生存例の平均は2,269.7gと33週3日で, 死亡例の平均は698.8gと24週6日であり, いずれも有意差をみとめた.発症日齢では有意差はみとめなかった.合併症と予後に関しては, 動脈管開存, 術後DICの有無においては相関をみとめたが, 腎不全, 頭蓋内出血, 術前DIC, 術前後の敗血症の有無に関しては有意差はみとめなかった.出生体重1,000g未満の14例で同様の因子の解析を行ったが, 統計学的な有意差はみとめなかった.【結論】統計学的には有意差は得られなかったものの, 死亡例を検討すると感染症が主な死因であったことより, 救命率の向上には感染症治療の充実とともに, 早期に積極的な手術を行い消化管穿孔に伴う感染症の悪化を最小限に抑えることが重要と考えられた.

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