日本小児外科学会雑誌
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腎盂尿管移行部狭窄による小児水腎症手術症例の検討 : 最近9年間34例
大津 一弘古田 靖彦鬼武 美幸
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2005 年 41 巻 7 号 p. 938-943

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抄録

【目的】従来, 臨床症状で発見された腎盂尿管移行部狭窄による小児水腎症(以下水腎症)は診断が確定次第, 手術が行われていた.しかし最近は出生前診断や腹部超音波スクリーニング検査等で発見される症例も増加した.そこで最近の手術症例を検討をした.【対象, 方法】1996年から2004年までの9年間に当科にて水腎症に対して腎盂形成術を施行した34例を対象とした.各々に関して年齢, 性別, 臨床症状, 術前後のエコー, レノグラム, 術後腎盂内圧測定, 術後合併症等を検討した.手術術式は主として狭窄部を切除するAnderson-Hynes Pyeloplastyを施行した.【結果】男児26例, 女児8例.患側は右側6例, 左側22例, 両側6例.手術時年齢は生後1ヵ月から13歳で, 乳児例は22例(64.7%).出生前診断は14例(41.2%), 健診で発見されたのは10例(29.4%), 有症状例は乳児例3例, 乳児期以後6例の計9例(26.5%).健診発見10例の発見年齢は新生児期が3例, 生後1〜4ヵ月5例, 1歳2例と乳児健診で8例が発見された.術後に腎盂内圧を測定できたのは14例で平均15.7cmH_2O.術後観察期間は9年から6ヵ月で, 33例(97.1%)に形態上の改善を認めた.術後合併症は吻合部通過障害のためのバルーン拡張術1例, 吻合部癒着による通過障害のための再手術1例.レノグラムで術前に相対的分腎機能45%以下は29例中6例(20.7%), 逆に術前に55%以上は29例中10例(34.5%).術後5%以上分腎機能が改善したのは検討できた7例中2例であった.【結論】水腎症手術症例の97.1%に形態上の改善が得られた.今後は術前後の腎機能の検討と併せて手術適応の再検討が必要と考える.

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