2006 年 42 巻 1 号 p. 35-39
1歳1カ月女児にみられた肺の充実性腫瘍を経験した.MRI画像上, 胸膜ひきつれ像を呈したため悪性も疑われたが, 約2カ月の経過でわずかながら縮小傾向がみられた.術中所見では腫瘍は右肺S6に限局して存在していたため, 区域切除にて完全摘出することが出来た.病理組織診断はinflammatory pseudotumorであった.本症例は乳児期に繰り返す呼吸器感染の既往があり, 不明熱の精査時に胸部異常陰影をはじめて指摘された.Inflammatory pseudotumorの術前診断は難しく, 治療も兼ねたexcisional biopsyによって診断されることが多い.術後再発の報告もあり厳重な経過観察が必要である.