2006 年 42 巻 2 号 p. 236-242
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(progressive familial intrahepatic cholestasis:以下PFIC)患児に対し部分的胆汁外瘻術(partial external biliary diversion:以下PEBD)を施行し,肝線維化の進行阻止に有効であった1例を報告する.症例は9歳男児である.γ-GTPが正常である慢性肝内胆汁うっ滞と肝生検の結果よりPFICと診断した.生体肝移植には適切なドナー候補がなく,利胆剤の増量で保存的に経過を観察していたが,肝機能の悪化が進み,PEBDを施行した.血液生化学的所見では血清総胆汁酸,総ビリルビンの低下を認め,皮膚掻痒感も軽快した.術後1年目の肝生検で肝線維化の進行が抑えられており,PEBDはPFICに対し有用な治療法であると考えられた.